物事にこだわらないほうが楽ということありますよね。悠々とこだわりなくいけるって理想かもしれない。でもこと料理はどうか味覚などというものを超越してしまえば、どうでもいいことかもしれない。でも、私は、お客様にお金をいただいて料理を作っているのだから、自分の力で出来るだけの美味しい物を作らなければならない。そしてもうひとつ重要なことは食材の元の味以上のものは人間には作れないということなんです。これがシェフのこだわりの始まりです。おもにお店で使う食材などについてお話していきます。


 


第一回イベリコ豚 その2

イベリコ豚の味は、普通の豚肉の概念からは程遠いものです。特に、その脂身の香り、味はもうたとえようもありません。私どもの店では、この脂身を味わっていただくために、出来るだけ脂をつけたまま調理します。

さて、この豚に欠点があるとすれば、異常に高価なことです
普通の豚肉の10〜15倍の値はつくでしょうか。この理由はただひとつ、この豚が極めて希少な存在だからです。

19世紀にはスペイン全土の豚の80%以上がイベリコだったといわれていますが、今は数パーセントもありません。飼育が難しいのと、体が大きくならないので、効率が悪いということで、少なくなったのでしょう。おまけに今では100%純粋のイベリコ豚はほとんどいないと言われています。多かれ少なかれ、ヨークシャーのような白豚系の血が入っているということなので、実はその純度によってイベリコ豚にもランクがあるのですあるのです。もしおいしくなかったというような体験をお持ちの方がいらっしゃるなら、その調理の精度もさることながら、肉のランクも疑ってみるべきかもしれません。

さて、当店では少なくとも純度75%以上のものを取り扱うことにしています。

                                                                     以上