
![]()
物事にこだわらないほうが楽ということありますよね。悠々とこだわりなくいけるって理想かもしれない。でもこと料理はどうか味覚などというものを超越してしまえば、どうでもいいことかもしれない。でも、私は、お客様にお金をいただいて料理を作っているのだから、自分の力で出来るだけの美味しい物を作らなければならない。そしてもうひとつ重要なことは食材の元の味以上のものは人間には作れないということなんです。これがシェフのこだわりの始まりです。おもにお店で使う食材などについてお話していきます。
![]()
第二回 ピキージョピーマン
スペインでは超高級食材として知られるのに外国ではまるで知られていないのが、ピキージョピーマン〈Pimiento del Piquillo)です。
たかがピーマンと思わないでください。。こんなに深い味わいのピーマンはちょっとないでしょう。大きさは6〜8cmぐらいの真っ赤な完熟したもので、形は三角錐型。スペインのナバラ地方で産するのですが、、面白いことにこのピーマン、生では苦くて食べられないのです。皮をむくために焚き火にかざし、表面が真っ黒になるまで焼く、その後真っ黒にこげた皮と種とへたを取って瓶詰め等にするのですが、火にかざすことで実の部分にも火が通り、不思議なことに味が劇的に変化します。苦味が消えて、えも言われない美味しいピーマンになる。そしてこの状態で瓶詰めや缶詰になって出荷されるのです。
したがって、ピキージョピーマンの生は流通しないのです。この瓶詰め、缶詰、という姿が、外国で過小評価される原因ではないかと実は思っています。
このピキージョの味わいは何者にも替えがたい、そこら辺の赤ピーマンでは代用できないものです。それだけに値段もハンパじゃない、ちっちゃなピキージョ1個が国産の普通のピーマン1パック(5〜6個入り)よりたかいのですから。それでもこのピーマンはスペインの味を形作る重要な役割をになっているのです。