物事にこだわらないほうが楽ということありますよね。悠々とこだわりなくいけるって理想かもしれない。でもこと料理はどうか味覚などというものを超越してしまえば、どうでもいいことかもしれない。でも、私は、お客様にお金をいただいて料理を作っているのだから、自分の力で出来るだけの美味しい物を作らなければならない。そしてもうひとつ重要なことは食材の元の味以上のものは人間には作れないということなんです。これがシェフのこだわりの始まりです。おもにお店で使う食材などについてお話していきます。

第四回ーサフラン

パエリャのオーダーをおうかがいしたとき「サフランたっぷりいれてね」とおっしゃられると、ドキッとします。なぜかというとサフランはぞっとするほど高価だからです。昔は同じ重さの金と交換されたそうですが、今でもおそらく、あらゆるハーブ・スパイスの中でもっとも高価なものでしょう。
サフランはアヤメ科の植物で学名をCrocus Salivus といい、クロッカスの親類です。ひとつの花に3本のめしべがあり、このめしべだけを採って乾燥させたものです。小アジア原産でギリシア時代からスパイスとして使われたそうですが、今では世界の70%をスペインで生産しています。
さて、サフランはなぜ高価か。トリュフのように希少だからではなく採集するのに恐ろしいほど手間がかかるためです。1kgのサフランを採るのに、約20万本の花が必要というと、お分かりでしょうか。えっ?よく把握できない?ではこういえばどうですか?食料品店で売られている小さなガラス瓶に入ったサフラン、大体1g入りだと思いますが、1gだと花200本分です。値段は500円から900円ぐらいでしょうか。えっ?まだぴんときませんか?
ではサフランの採集・選別・加工は機械化できずすべて、人手に頼っているということ。一人の人間が採集できる量は年間製品にして1kgに過ぎない。ということ。採集しためしべの黄色い部分をとり赤い部分だけにするのはすべて手作業で、大手メーカーでも1時間に50〜60gしか出来ないということ・・・・・。
どれだけ手間のかかるものか大体お分かりいただけたでしょうか。
さて、最期に雑学を二つ。
サフランはアラブ人がスペインにもたらしたもので、語源は古代のアラブ語で「アズザファラン」(黄色という意味)だとか。
二つ目は、サフランの色はカロチノイド系色素のクロシンだそうですが、最近の研究でクロシンに記憶・学習機能を改善し、精神の安定に効果があることがわかってきたとか。つまり、サフランを食べると頭が良くなるーーーーと何かのTV番組みたいになってきましたので、ここらでお開きにします。