今回は、スペイン独特の香味野菜のことをお話しします。
ーーーといってもなんということはない、ピーマンのことです。なんだ、と思われる
かもしれません。なにせ、日本ではピーマンなど、薄切りにして、サラダの彩りに
使われる程度。子供には嫌われ、「ピーマン頭」と言えば中身がカラッポ・・・・
などとさげずまれます。せいぜい躍り出るのは「チンジャオ・ロースー」ぐらいでしょうか。
実際、日本のピーマンはあまりおいしくありません。気候風土のせいか水っぽく
感じることが多いのです。でもスペインではまた別の世界があります。
もともとアメリカ大陸原産のトウガラシから派生した辛くない品種、このピーマンの
多様な使われ方についてはたぶんスペインの右に出るところはないでしょう。
普通、ミルポワ(香味野菜)と言えば、玉ねぎ、人参、にんにく、セロリ、
ポワロネギといったところでしょうか。たとえばフランス料理でピーマンが
その中に入ることはありません。でもスペインでは違います。実はピーマンからは
おいしい味が出るのです。
煮込み料理やパエリャを作る時など、ほとんどすべてのスペイン料理の基本は
動物性のだし汁ではなく野菜なのです。
基本は玉ねぎ、にんにくなどをみじん切りにし、これをゆっくりとオリーブオイルで
加熱してゆきます。この時、いためるでもなし、煮るでもないその中間的な加熱方法で
これを「ソフレイール」と呼びます。
上記の材料以外に、場合により、人参、トマト、ポワロネギ、インゲンなども
加えられますが、ほとんど欠かせないといえる材料はピーマンなのです。
ちなみに、こうして作られたベースは「ソフリート」と言います。こう言いますと
イタリア料理の「ソフリット」を思い出す方もあるかと思いますが、これは似て
非なるものです。
刻んだピーマンをソフレイールしていった時ににじみ出てくるうま味とあの
ごくわずかの辛みが料理全体に及ぼす効果は、スペイン料理独特の持ち味といえます。
今、うま味と言いましたが「一体、ピーマンにうまみなどあるのか?」という声が
飛んできそうですね。この点については次回にお話しましょう。
つづく