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charactor design by ikuko fukumi

■H25年度版次世代省エネ基準に挑戦
良いのは判っているけど、冬そんなに寒くない関西地方では少し贅沢かなと思ってしまう高断熱住宅。なんとか、ローコストに出来ないか色々と模索しました。
■ 一般屋根

普通の木造住宅の屋根は右図に見られる様な、タルキ(垂木)の間に断熱材(ポリスチレンボード等)を入れた内断熱工法が主流です。一般的に工法が普及していて、断熱材も市販品で安価なものが出廻っております。
これ以外にも天井面にグラスウール等を敷く断熱工法も普及しています。
但し、天井面に敷き詰める場合は、意外に施工要領が、誤解されていたりして充分な断熱層を形成するに至ってない場合が多く見受けられます。隙間が空いていれば暖房しながら窓を開けている状態と同じです。

隙間無く敷き詰めなければ対流が発生して、断熱効果が無くなってしまう事にあまり注意が払われません。断熱検査時等にその辺の指摘が無いのが原因ではないかと思われます。
それに比べれば図1のタルキの間に断熱材をいれる方法は、まだ確実な断熱工法だと云えます。しかしこれも万全でなく、断熱材と断熱材の間のタルキ部分に隙間が発生します。その隙間が熱橋(ヒートブリッジ)となって熱が室内に漏れ出します。タルキの木材自身は熱伝導率が低く大きな問題とは思えないのですが、施工性の問題で断熱材とタルキの間にどうしても隙間が出来てしまい性能を下げる原因となっています。


■ 外張り断熱通気工法

右図はタルキの上に断熱材を並べ、断熱材間の隙間を気密テープで目張りし、その上にもう一度、タルキを設けその部分を通気層として利用する外張り断熱工法です。確実に断熱できて、施工不良の個所も一目で見つかる為、より優れた断熱工法と云えます。
欠点はタルキを2重にする材料代と手間代の高騰です。あまり普及しておらず、手慣れた工務店さんが少ない事もあって、通常の屋根工事の1.5倍程度割高になってしまいます。
割高分のお金を光熱費として消却すると、暖かい関西地方では何十年も掛かってしまうので何の為に高断熱化したのか判らなくなってしまいます。
一時エネルギー消費を抑える事も良い事ですが、ローコストでなければ関西ではエコハウスは成立しません。

■ 折板を利用した通気工法

右図は外張り断熱工法をローコスト化した案です。
タルキを1重しか設けず、その代り、屋根材を折板屋根にしまして、折板の山型部分の空洞を通気層にした案です。これでは、折板の谷部分の通気が取れない様に見えますが、実際は止め金等が間に入っている為1cm程度の隙間が空いています。又、金属屋根の欠点である雨音を押さえる為、耐水プラスターボードをルーフィングの下に敷きました。又、折板は結露防止用にペフ(防露材)を裏張りしたものをお勧めします。
実際の数値的なデータを取った訳ではありませんので、一般的な外張り断熱工法とどの程度、差があるのか判りませんが、実感として殆ど差は無いと思います。

二階にいる時、通常の内断熱工法の家に感じる屋根面・天井面からの輻射熱を全く感じませんでした。問題点は嗜好の問題と思うのですが、折板は、工場の屋根等に多く見られる屋根材なもので、住宅用としては敬遠され勝ちな事です。安価でしかも、他の屋根材では決して出来ないような緩勾配の屋根も可能なので、デザイン的にもう少し研究されれば見直される時期が来る様に思います。

■ 屋上緑化対応例

緩勾配でも施工可能な特性を生かして、折板の上にエキスパンドメタルで架台を造り、耐根シートを敷いて軽量土を載せ、芝やセダム等の植物を植えます。都市緑化や都市温暖化対策としても有望な屋根が出来上がるのではないでしょうか。折板の表面塗装も直接、太陽の紫外線を受けない為、寿命が延びます。
屋上緑化の欠点は常に水を含んだ土が防水層を挟んで構造躯体と直接接している事です。水漏れが発生しなくても熱容量の差で結露が発生し構造躯体にダメージを与える可能性があるのです。
折板屋根の上に架台を設ける方法は土を構造躯体から分離する為結露の心配がなく、屋上緑化に適しています。

芝は3日に一度程度散水が必要ですが、メキシコ原産のセダム は天水のみで充分繁殖が可能で、他の雑草が涸死する条件でも立派に生育します
■ 折板屋根+屋上緑化の実例

鋼製架台設置


エキスパンドメタル貼


耐根シート貼

軽量土+芝生

■ 一般的な外壁

左図は一般的な内断熱工法の壁です。断熱材はグラスウールが一般的です。(水色の部分)
壁の中に充填しますので、内断熱とか充填断熱と云う言い方もあります。
最近は断熱効果の向上を図る為、サイディングや外壁仕上げ材を直接壁の下地に取付けるのではなく、下地と仕上げ材の間に通気層を設け、空気を対流させることにより熱の伝導を軽減させる工法が取られています。
これを通気工法と呼びます。
仕上げ材には直射日光が当たりますから、温度は上昇しますが、通気層の中を対流する空気がラジエターの役目を果たし、熱を屋内に伝え難くさせています。
それと同時に空気を通す事により壁の中を乾燥させ木材が湿気る事を抑えています。
木が濡れたり乾いたりするのは、家の寿命を考えると決して良い事ではないのです。


■ 外張り断熱

これは一般の外張り断熱工法の壁です。ポリスチレンフォーム等の比較的堅い材料を断熱材として使用します。(薄水色の部分)構造用合板を張った後に継ぎ目を気密テープで目張りする為、空気の流通が有りません。またグラスウールに比べ隙間が出来難く仮に濡れても急激な断熱効果の減少は有りません。
ただ、断熱材そのものが高く、上等な断熱材ですとグラスウールの1.5倍から2倍のコストが掛かります。
省エネ対策でお金を掛けてしまうと、資金回収が大変です。省エネの目的は経費削減から温暖化対策にシフトして来ていますが、消費者レベルで考えると経費削減も欠かせない要素に変わりありません。断熱性能を上げて且つコストを抑えるとなると新たな方法を考えねばなりません。


■ 外張り断熱のローコスト案

壁仕上げ材を波板スレートや角波鋼板の様な裏側に通気層が出来る材料を仕上げ材として用い、縦胴縁を取り付ける手間を省きます。仕上げ材の価格自体も他のサイディングに比べ格段に安価ですから、外張り断熱を採用しても仕上げ材と通気胴縁を省く手間賃が下がりますので費用を抑える事が出来ます。
ただデザイン次第で、これも工場の外壁の様になってしまいますから、相当なデザイン力が要求されます。



■ 外張り断熱ローコスト案の改善例

外張り断熱ローコスト案の、問題点解決を試みた一つの方法です。
仕上げ材の上にステンメッシュを取り付け、蔦等の植物で覆います。夏場直射日光が壁面に当らずかなり涼しくなります。
またアルミパンチングメタル等で覆うのも面白いと思います。
ダブルスキンの発想はこれからの住宅において、多いに検討されるでしょう。


■ 一般的な床断熱

べた基礎が良いか布基礎が良いかの議論は別として最も普及している床断熱です。床暖房もこの上の仕上げ材との間に設置するだけで簡単に出来上がります。
以前は床下の換気を確保する為、基礎をくり抜き床下換気口を設けていました。しかし基礎の換気口は、地震等で応力が集中した場合簡単に割れてしまいます。
基礎が破断しますと上部をいくら丈夫に造っても建物は到壊します。図は床下換気口を無くす事で基礎の弱点を排除しています。
基礎と土台の間に塩ビ製のパッキンを挿入して、2cm程土台を浮かせます、その隙間から換気しようと云うものです。

おまけの効果として、白蟻に侵され難くなったり、基礎面に密着していないので、土台が常に乾燥状態にあり、建物が長持ちする様になりました。
床下を乾燥させる目的で屋外の空気を床下に取り込むこの構造は、床材と断熱材が密着しているかどうかが大きな問題となります。
この工法では、床下の環境は外部と同じですから、床材と断熱材の間に隙間ができてしまうと、そこに外気が入り込み熱をどんどん逃がしてしまう為です。

■ 外張り断熱の基礎

この工法は、床下まで断熱化してしまい、床下は湿気が上がらない様に、土間コンクリートと防湿シートで密封します。基礎の外側を、外壁で張った断熱材をそのまま、基礎部分まで張り伸ばします。そうする事で隙間が無くなり、高気密化が完成します。
注意点は、床下の換気を外気に頼る事が出来ないので、室内の空気を床下まで循環させてやる必要が発生する事です。それさえすれば完璧と思われたのですが、実は思わぬ伏兵がいました。
白蟻です。スチレンボードは石油製品で白蟻の栄養にもならない、と思うのは人間の考えで、白蟻にしてみれば木とスチレンボードの区別がつきません。土に接触しているスチレンボードに白蟻の食害が各地から報告されました。食害を受けない断熱材(発泡ガラス等)で基礎を覆えば問題は解消するのですが、どれも値段が高く、ローコストの観点から採用出来ません。
また、土台と基礎が密着している為、接触面が乾燥し難く、土台にダメージを 与える可能性があります。


■ これからの基礎断熱

この図は、断熱材を白蟻の食害から守る為、基礎部分のみ、基礎の内側に断熱材を張った案です。
断熱材が土と接触していない為、白蟻から守られます。
基礎の立ち上り部分を畜熱層として、利用できない欠点は有りますが、それによる光熱費の増は微々たるものです。また基礎と土台の間の隙間から冷気(熱気)が侵入しない様に、ラバー付の気密パッキンを挟みます。そうする事によって土台と基礎が直接接する事も無くなり、土台が湿気る事も有りません。
ただこの工法もまだ改善の余地があり今後の発展を期待したい部位です。



図1

図2

図3

■ 採光(開口部の形状)

開口部から逃げる熱は面積に比例します。暖かい家にしようと思えば開口部の面積をできるだけ小さくすることです。
しかし、断熱性能が向上しても暗く住み心地が悪ければ本末転倒です。

右の図は開口面積を同一にして、形状を変えた図です。図1は一般の掃き出し窓で、図2は窓の幅を少し縮めて高さを天井まで伸ばした窓です。図3は横幅を伸ばしたピクチャーウィンドウです。

この中で部屋の奥まで最も日差しが届くのが、図2の天井まで高さを伸ばした窓です。奥まで日差しが届くため、この中では最も明るい窓となります。

図1は窓上の垂れ壁部分が暗く感じます。窓が明るいだけに余計に暗さが目立ちます。同様の理由で図3の窓も暗く感じます。

部屋の明るさを保ちつつ窓の面積を少なくしようとすれば、縦長の部屋の奥まで日差しが届く窓を採用することです。


■ 日除け対策

右図は何も日除け対策を施していない掃き出し窓です。夏至の正午頃、大阪付近を想定してシュミレーションしました。
本当に暑いのは、夏至では無くお盆前後の午後2時から3時頃に掛けてですから、もう少し部屋の奥まで日差しが入り込んでいるはずです。
もしクーラーが無ければ、高性能な外断熱でも、何の効果もありません。
それどころか一旦暖まってしまった室温を保温してしまい、夜中になっても温度が下がってくれません。

この図は冬至の同条件の日差しのシュミレーションです。冬にここまで日差しが入り込んでくれたら、昼間はおそらく、暖房器具は不要でしょう。
この冬の日差しを損なう事無く、夏の日差しを遮る工夫を考えてみます。



この図は床面から2.4mの高さに出幅1mの庇を設けた時の、夏至の日差しです。 北回帰線は23°30′大阪の緯度は35°90−(35−23)=78°が夏至の日の南中時の太陽高度です。
4日に1°のペースで太陽高度が下がりますのでお盆前後は63°付近まで下がってます。丁度、上記の庇の角度が63°程度になります。
ですから、夏至では部屋の中に、日差しは入り込んでいません。お盆前後でも、ほぼ窓際で止まります。


夏季

同様の冬至の日差しです。
南回帰線は−23°30′ですから90−(35+23)=32°となりますので、窓上の壁の部分に影は出来ますが、ほぼ庇の無い場合と同様の位置まで日差しが入り込んでいます。

冬季

何かの都合で庇が造れない場合、右図の様に、ルーバーを窓外に設けて、庇の代用をさせる事が出来ます。
それぞれの地域にあわせて羽根の枚数や角度を調整すれば、より効率的な採光・遮光が可能になります。
ちなみにルーバーは室内に設けるより屋外に設けた方が効果が上がります。
夏季
冬季


メンテナンスフリーとなれば、右図の様な植物による遮光も面白いと思います。

朝顔の様に冬になると枯れてしまうもので窓を覆うと、冬場の採光も問題ありません。

夏季
冬季

 

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