平成23年3月11日東北地方でマグニチュード9.0と云う、史上最大級の地震が発生しました。
津波や原発災害が大きくクローズアップされましたが、被災家屋の割合としては、地震による直接被害
が
最も多くなっています。
最近の耐震工学の発達により倒壊家屋は想定を下回りましたが、半壊する建物が増えてしまい、結局避難生活を
強いられる結果となっています。また、目立った被害が無いにも関わらず、揺れに対する恐怖がトラウマと
なって、被災者を苦しめるケースも多数見うけられます。
これは、関西に住む私たちにとっても、対岸の火事では全くありません。
三つ子の地震と呼ばれる、東海・東南海・南海地震は過去の記録を見ても60年おきに周期的に発生
しています。前回の東南海・南海地震からは60年以上経過しています。
東海地震に至っては100年以上沈黙したままなのです。
もういつ地震が発生してもおかしくない時期に
到達しています。
これからの家造りは、大地震に遭遇する事を前提として考えねばなりません。建築は大金を必要としますから実験的な冒険は出来ません。どうしても保守的になり、今までのやり方を踏襲してしまいます。
しかし、私たちは今、これまでまでのやり方では、解決出来ない事態に直面しているのです。
揺れに抵抗する耐震や制震と云った、既存の家の造り方は、建物そのものの倒壊を防ぐ可能性は高く
なり
ましたが、建物の損傷までは防げません。また、家具の転倒や階段からの落下等、中にいる人の安全を守る効果は決して高いとはいえません。
揺れに耐える発想を捨てて、家を揺らさない技術が要求されています。
免震工法は、現在考えられる唯一無二の、揺れない家を造る工法です。
実際には揺れないのではなく、建物を地震と反対方向に揺らすことによって、家の中にいれば、揺れない家になるのです。

木造住宅の特徴は鉄骨造やRC造に比べて軽いことにあります。その軽さのためゴム免震や滑り免震は摩擦抵抗が大きくなり過ぎて、免震装置が有効に働いてくれません。
また浮き上がり免震は、今後開発が期待されますが、動力を必要とするため、免震装置としての定義から外れ、国の認定を受けた製品は一つもありません。現時点では転がり免震が最も摩擦抵抗の少ない認定を受けた免震装置です。
摩擦抵抗が少ないと、風や人の力でも建物を動かすことが出来ます。簡単に動いてしまうと、それは実用には不向きになりますので、免震装置とは別に風揺れ固定装置を設けます。固定装置には油圧式のピンが付いていまして、地震にのみ反応する構造になっています。地震以外の外力を受けても反応せず、建物を固定し続けます。
免震装置の配置は建物の重心を考慮して配置されます。その結果、2ton以上の土嚢を建物の隅に積んで、わざと偏心させた実大実験を繰り返しても捩れは起きていませんでした。
今まで観測された縦揺れ地震で1Gを超える(浮き上がる)揺れは2件観測されています。しかし、1.1Gを超えない僅かな引き抜き力です。浮き上がりに対しては浮き上がり防止装置を複数箇所取り付けて対処します。
摩擦抵抗が僅かなため、固有振動周期が存在しませんので、共振は殆ど起こりません。
ただ、免震装置の挙動範囲を超える横揺れが発生した時を想定して、わざと摩擦抵抗を増大させる、制震ダンパーを設けています。想定の範囲内の揺れには抵抗無く免震装置が働いて、想定を超える横揺れに対しては制震ダンパーを働かせて抵抗します。
結果的に、実際の揺れを1/10程度(震度7を震度4程度)に抑え込みます。
動力を用いませんので、電気的な故障はありません。油圧式の制震装置ですので液漏れ点検が必要となります。毎年一回制震装置のある点検ピットに潜って所有者による点検を、お願いしています。液漏れ等不備が見つかった場合は、設置後15年間は無償補修又は取替え致します。15年以降はメンテナンス契約をして頂きます。
基礎と土台の間で建物が挙動しますので、その位置で設備配管もフレキシブル菅にする必要があります。外部は蛇腹菅で内部は滑らかな専用菅があります。
免震住宅は一種地盤又は液状化の恐れの無い二種地盤に限られます。簡単に云えば切り土の土地や、常水面が低い土地であれば建築可能です。盛り土や埋立地には建設出来ません。ただ、全宅地の8割程度は地盤改良等を施す事により施工可能となります。
IAU型転がり免震支承は戸建て住宅の免震装置としてはトップシェアを誇っています。
弊社も昨年夏大阪府下で手掛け、構造見学会には建築家を中心に多数の方が見学に来られ、高い評価を得ました。
耐震や制震は建物の剛性を高め、地震に抵抗しようとする考えです。建物そのものの倒壊を免れる可能性は高くなりましたが、地震の揺れをそのまま家に伝えてしまう為、家具の転倒や階段からの落下事故等の問題が残ります。
免震装置や鋼製架台の制作費により、500万円程度の費用が掛かりますが、木造部分の剛性を高める必要が無く、上部構造でコストダウンが図れます。また、被災すると倒壊に至らなくても、相当の補修費用が発生します。その事を加味すれば決して費用対効果が悪いとは云えません。
地盤には制限はありますが、地域の制限は一般の木造住宅と条件は同じです。
家の外にいる場合、見かけ上建物が動いて見えますので、境界塀と建物の距離が短いと衝突する恐れがあります。玄関や勝手口のある空間・人が出入りする路地・人の出入りの無い路地の三段階に分けて境界からの空き寸法に制限を設け、事故の発生を抑制しています。
年一回、所有者さまによる目視調査をお願いしています。また5年に一度又は免震装置が作動した地震後、施工者による点検があります。
アフターサービスは正常な使用をしていた場合、15年間保証が付き、15年以降はメンテナンス契約をお願いしています。
間取りや階高に制限はありません。ただ正方形や極端に長細くない長方形にプランをまとめた方が建設費は安価になります。