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IAU免震工法の制限(黄文字は解説)

◆ 建物の摘要範囲
告示上の建物への制限(機能種別・面積・構造・階数)はありません。但し高さ60m以下で基礎免震の場合。
ここで云う告示とは、国土交通省から広く国民に知らしめる為に発信する文章の
ことです。法律と同じくらい重い意味合いを持ちます。
建築基準法で詳細が判らない事例は、建築基準法施工令で確認する事になっています。
施工令でも判断がつかない場合は告示や通達を調べる事になっています。

で、告示上は建物への制限はありませんとなっていますが、実質上は在来木造や
枠組壁工法の木造住宅・軽量鉄骨造が主な対象となっております。
講習会でも主に在来工法での説明に終始していました。
鉄筋コンクリート造でも法律上の制限はありませんが、詳細な実験データーは無いと
思われますので、鉄筋コンクリート造等では検討しない方が無難です。

◆ 敷地地盤
第一種地盤又は液状化の恐れのない第二種地盤であること。
液状化の判定は、200gal程度の地震動に対して確認すること。
大地震動時に液状化の可能性のある場合には、地盤改良や支持杭を設けるなど、不同沈下等により免震機能に支障をきたさない様配慮すること。
近隣(当該敷地から概ね500m以内)のボーリングデーターを入手できない場合、又は建築主事等が要求する場合は、地盤種別及び液状化判定のため、当該敷地でボーリング調査を行うこと。

一種地盤とは、洪積層の地盤を云います。洪積層とは1万年以前から存在する地層で
比較的硬く締まった地盤であると云えます。二種地盤とは沖積層の地盤をさし、1万年
以降に川からの堆積物で出来た土地とされています。

話しは脱線しますが、では1万年前に何があったのでしょうね。一万年以前にも川
の堆積はあったでしょうし、それらを沖積層と呼ばないのは何故でしょう?
堆積物の中に含まれる化石等が一万年以前と以降とでは明らかに違うそうです。
生物環境が一変する環境の変化が地球に起こったのでしょう。
どの様な事か想像の域を出ませんが・・・。

galとは重力加速度と云い、単位時間当りの水平移動量を単位時間で微分した値
と定義されます。誤解を恐れず平たく云いますとシナリ具合を表しています。
阪神大震災の際に記録した重力加速度が800gal程度ですから200galは結構頻発
する地震に対しても液状化を許さない地盤である事を要求しています。



◆ 水平クリアランス
上部構造と当該建物の下部構造及び周囲の構造物その他の物件との水平距離が、上部構造の部分毎に、それぞれ免震層の地震応答変位に次の表に揚げる当該部位の周囲使用状況に応じた距離を加えた数値以上であること及び、免震層の風応答変位以上であることを確認すること。

 

周囲の状況

距離(単位m)

(1)
通行の用途に供する場合

0.8

(2)
(1)に揚げる場合以外の人の通行がある場合

0.2

(3)
(1)及び(2)に揚げる場合以外の場合

0.1


免震構造の建物は見掛け上、最大35cmの幅で建物前後左右に動きます。
(実際は建物でなく、土地が動いているのですが)ですので、
建物の周りに障害物がりますと衝突してしまいます。また人が挟まれたり
すれば、致命的な事故になりかねません。
そこで、建物と境界塀等の間に空間を設ける事を規定しています。

(1)は玄関アプローチ・勝手口に通じる軒下路地等を80cm+35cm
(地震応答変位量)=115cmの空間を取る様規定されています。
(2)は通る可能性の有る部分。メンテナンス等でしか人が通らない部分に
ついては20cm+35cm=55cmの空間を開けなさいと規定されています。
(3)は実際上人が通らない空間で10cm+35cm=45cmの空間を空ける事が
義務付けされています。

◆免震層
<配置ルール>
・転がり免震支承は、概ね5m以内の間隔で格子状に配置すること。
・引抜防止付転がり免震支承は、ダンパー及び、風揺れ固定装置を挟む形で二基以上
 配置すること。
・引抜防止付転がり免震支承は、鋼製土台梁に対し斜めに配置すること。
・ダンパーは重心近傍(重心から概ね50cm以内)配置すること。
・風揺れ固定装置は、建物の風圧力中心近傍(風圧力中心から100cm以内)に配置すること。
<構造計算規定>
・免震層の偏心率を、3/100以下とすること。ただし、捩れによる変形の割増を考慮して安全上
 支障がないことが確認された場合は、この限りでない。
・上下方向の静的震度0.3Gを考慮し、水平方向地震力が作用した時に免心材料に引張力が
 作用しないこと。
<免震装置のチェックポイント>
・免震支承は、負担する荷重が長期100kN以下、短期200kN以下であること。
・ダンパーは、建物重量(鋼製土台より上部建物)に合わせてノズル番号を決めること。
・風揺れ固定装置は、負担する風荷重(1.6W)が水平限界強度180kN以下であること。
<耐久性当関係規定>
・免震層の高さを免震装置の点検上支承のない間隔とすること(鋼製土台の梁下有効寸法は
 300mm以上確保するのが望ましい。
・荷重及び外力を免震装置のみによって伝達すること。ただし、地震に対して安全上支障の
 ないことを確かめた場合にあっては、暴風により生ずる免震層の著しい変位を防止するため
 の措置に必要な部材を設けることができる。
・免震装置は、検査及び点検が容易に行える様に設置すること。
・免震装置の交換が可能な構造にすること。
・免震装置は、上下をそれぞれ上部構造・基礎に緊結すること。

◆上部構造・鋼製土台・基礎構造

<配置ルール>
・上部構造の耐震要素(柱・耐力壁・ブレース等)の直下には、必ず鋼製土台を配置する事。
・免震装置直上で鋼製土台梁を直交二方向に配置する事。
・ダンパー及び風揺れ固定装置直下で、基礎梁を直交二方向に配置する事。

<構造計算規定>
・上部構造が4号建築物の場合、告示第6の計算(限界耐力計算と同等の構造計算)
 ルートを摘要する際に、地震力に対する許容応力度設計、層間変形角の確認、中規模の
 積雪・暴風、大規模の積雪・暴風の検討を省略できる。
・長期荷重によって生じる応力度は、長期許容応力度以下とする。
・大規模の地震荷重によって生じる応力度は、短期許容応力度以下とする。
・中規模の積雪・風荷重によって生じる応力度は、短期許容応力度以下とする。
・大規模の積雪。風荷重によって生じる応力度は、材料強度以下とする事。
・上部構造の各階の層間変形角は、建物高さ13m以下で軒高9m以下の場合に1/200以内
 、建物高さ13mを超えて軒高9mを超える場合に1/300以内とする事。
・免震支承直上の鋼製土台の地震時の回転角を、1/150以内とする事。
・地震時のダンパー突き上げ力に対する鋼製土台梁の鉛直変位を2mm以内とする事。
・中規模及び大規模暴風時に生じる風揺れ固定装置の突き上げ力を考慮する事。

◆建築各部・配線配管

<耐久性等関係規定>
・免震建築物の周囲に安全上支障のある空隙を生じさせないこと
・免震建物であることの表示を行うこと
・除雪や融雪装置を設置するなど、積雪時に免震層の変位を拘束しないようにすること
・免震層への浸水による免震装置の冠水を防止すること
・免震層に配置する配線配管類の継ぎ手部分は免震層の水平変位
(安全をみて35cm以上)に追従できるような構造としなければならない

◆検査・点検の種類と概要

・建物所有・居住者又は免震維持管理者は、竣工時、通常点検、定期点検及び
 臨時点検を実施し、記録する事。また、各記録は確実に保管すること。
・検査及び点検の概要は下記の通り

検査・点検の種類

実施時期

実施者

方法
竣工時検査 建物竣工時  免震維持管理者 目視及び計測
通常点検 半年に一回程度 建物所有・使用者 目視
定期点検 建物竣工から1年・2年・
5年・10年・以後10年毎
免震維持管理者 目視及び計測
臨時点検 以下の場合に速やかに対応
・震度5強以上の地震を受けた場合
・基準風速以上の強風を受けた場合
・冠水や火災を受けた場合
・通常点検で以上が発見された場合
免震維持管理者 目視及び計測