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リフォーム工事の契約書にご用心

最近リフォームの契約に関する相談が相次ぎました。相談内容は、業者の営業マンは工事の内容を全然説明せず、「会社の知名度こそ信用だ」を連呼し、契約をどんどん急がせたそうです。(初めて家に来た日に、契約を取ろうとし、印鑑を押すまで帰らなかったそうです)熱意に負けて契約したが、見積もり内容がどうもズサンで、とても安心して工事を任せられない。との事でした。
契約書を見せてもらうと、殆どが一式工事で、詳細項目が書かれておらず、まともな改修図面も無い為、詳細が何も見えて来ません。
こんな時、契約書に則り、質問なり、抗議なりしなければならないのですが、この契約書が、又お粗末なものでした。建設業法に、記載を義務づけている項目以外は、徹底的に省略してあり、
(多分、既成の契約書類を、自分たちの都合の良い様に、改ざんしたと思われます)全体の辻褄が合わない個所が多く見られます。この内容では紛争解決の手段にはなり得ません。建築主さんも、リフォーム業者の方も後々の憂いを残すような契約はしたくないでしょうから、参考にして頂ければ幸いです。
下記に使用されていた契約書の全文を掲載します。
文章の中の赤字部分は、私が感じた疑問点です。

工事請負契約約款

第1条(総則)
注文者(以下甲という)と請負者(以下乙という)は互いに信義を守り誠実にこの契約を履行する。

第2条(一括委任と一括下請け)
甲は乙が乙の指定業者に工事の全部、又は大部分を一括して委任もしくは請負わせることを承諾する。

建設業法では書面による依頼者の同意が無い限り、一括請負を禁止しています。一括で下請け業者に請け負わせると、元請け業者は中間マージンを搾取するだけの仲介者になってしまうからです。ですからこの条文を十分、依頼者に説明していなければ建設業法違反の疑いがあります。

第3条(権利義務の継承等)
当事者は相手方の書類による承諾を得なければ、この契約から生ずる自己の権利義務を第3者に継承させ、または契約の目的物や工事現場に搬入した工事材料などを売却し、貸与し、もしくは抵当権その他担保の目的に供することはできない。

第4条(工事の変更、及び工期の延長)
@ 甲は必要がある場合には工事内容を変更し、または工事着手を延期することができる。この場合において請負代金額または工期を変更する必要があるときは、甲乙協議して定めるものとし、また乙が損害を受けたときは、甲はその損害を賠償しなければならず、その賠償額は甲乙協議して定める。

今回、乙が工程表を示さなかった為に、工事着手の延期時期が問題となりました。工程表作成に関する条文がどこにも無い為、この第4条は機能しません。

A 乙は工事に支障を及ぼす天候の不良その他乙の責に帰すことができない事由を明示して工期の延長を求める事ができる。この場合その延長日数は甲乙協議して定める。

第5条(請負代金の変更)
工期内に租税、物価、賃金等の変動により請負代金額が明らかに不適当であると認められるに至ったときは、当事者は相手方に請負代金額の変更を求めることができる。この場合請負代金額の変更については甲乙協議して定める。

工程表に関する条文が無い為、工期内の解釈が幾通りも出来てしまいます。

第6条(一般的損害)
工事の完成引渡しまでに工事目的物または検査済の工事材料その他工事施設について生じた損害は、乙の負担とする、ただし、その損害のうち甲の責に帰すべき事由により生じたものは、甲の負担とする。

検査済の工事材料は、設計図書にどの様な機関のどの様な検査を行うかを、明記しなければなりません。この約款の中に設計図書に関する条文が欠落しています。依頼者は工事材料が適正か否か調べる事が出来ません。

第7条(第3者の損害)
乙は工事の施工のため第3者の損害を及ぼしたときは、その賠償の責を負う。ただし甲の責に帰すべき事由による場合は、甲がその責を負うものとする。

新築工事でない改修工事において、この文面だけでは、甲の責か乙の責か不明確な部分の措置をどうするのか見えてきません

第8条(不可抗力による損害)
天災その他甲乙のいずれにもその責に帰することができない事由によって、工事の出来形部分または工事現場に搬入した検査済の工事材料について損害を生じたときは、乙は事実発生後遅滞なくその状況を甲に通知しなければならない。この損害については乙が善良なる管理者の注意をしたと認められるときに限り、その損害額が請負代金の10分の1を超えるものについて、その超過額を甲が負担する。損害額は甲乙協議して定めるものとし、火災保険その他損害をてん補するものがあるときは、それらの額を控除したものを損害額とする。

火災保険は、依頼者が家全体に掛けるのか、施工者が工事期間だけ工事対象部分のみに掛ける保険の事を指すのか判りません

第9条(検査等)
乙は工事が完了したときは甲に検査を求め、甲は遅滞なくこれに応じて乙の立会いのもとに検査を行う。検査に合格しないときは、乙は工期内または甲の指定する期間内にこれを補修または改造して甲の検査を受けるものとする。

通常は設計者が丙として、工事監理に入り丙の立会いの元に検査を行います。依頼者である甲に検査を求めて、合格か不合格かの判定を適正にできるでしょうか?甲は素人だから何とでも言い訳ができると考えているのでしょうか?

第10条(請求、支払、引渡)
@ 甲が工事請負契約書に定めた各支払い時期に達したときは、乙の請求により工事請負代金を支払うものとし、この支払いを完了すると動じに乙は甲に目的物を引き渡すものとする。
A 契約の目的物の所有権は、乙の定める引渡しに関する書面に記名捺印することにより確認し、乙から甲に移転する

工程表がない為、いつ支払いが発生するのか良く見えません

第11条(履行遅滞違約金)
@ 乙が契約期間内に正当な理由がなく、工事の完成引渡しができないで遅滞にあるときは、甲は遅滞日数1日について請負代金額(工期内に部分引渡しがあったときは、その部分に対する請負代金額を控除した金額)の1000分の1の違約金を乙に請求することができる。ただし、第4条の該当する場合または、甲が正当な理由なしに引き取りを拒んだ場合はこの限りでない。
A 甲が請負代金の支払(前払金または部分払いを含む)を遅滞しているときは、乙は請負代金からすでに受領した金額を控除した残額について日歩8銭の違約金と甲に請求することができる
B 甲が前項の遅滞にあるときは、乙は契約の目的物の引渡しを拒むことができる。

工程表に関する条文が一切無い為、遅滞日数を何時から起算するのか判りません

第12条(甲の中止または解除権)
@ 甲は必要によって工事を中止し、または契約を解除することができる。ただし、甲はこれによって生じる乙の損害を補償するものとする
A 次の各号の一つにあたるときは、甲は工事を中止し、または契約を解除することができる。この場合、甲は乙に損害賠償を求めることができる。
イ、乙が天災地変等の不可抗力による正当な理由がなく、着手期日を著しく過ぎても工事に着手しないとき
ロ、乙が天才地変等の不可抗力による正当な理由がなく、著しく工事が遅れ、契約の目的物が相当の期間内に完成する見込みがないことが明らかになったとき。
B 契約解除のときは、工事の出来形部分は甲の所有とし甲乙協議の上清算する。

工程表に関する条文が一切無い為、何をもって「期日を著しく過ぎる」とするのか判りません

第13条(乙の中止または解除権)
@ 甲が前払い金または部分払いの支払いを遅延し、乙において相当の期間を定めて催告しても、なおその支払いがないときは、乙は工事を中止することができる。
A 次の各号の一つにあたるときは、乙は工事を中止し、または契約を解除することができる。この場合、乙は甲に損害賠償を求めることができる。
イ、甲の責に帰すべき事由による工事の遅滞または中止期間が工期の3分の1以上または一ヶ月以上になったとき
ロ、甲がこの契約に違反し、その違反によって契約が履行できなくなったと認められるとき。
ハ、甲が請負代金の支払能力を欠くことが明らかになったとき。
B 契約解除の時は工事の出来形部分は甲の所有とし甲乙協議して清算する

工程表に関する条文が一切無い為「相当の期間」が何時までなのかよく判りません

第14条(紛争の解決)
甲乙当事者間に紛争が生じたときは、王乙双方の承認する第3者を選任し、その解決を依頼するか、乙の指定する地方裁判所または簡易裁判所をもって直轄裁判所とする。

何故乙が裁判所を指定するのでしょう?
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