タミフルカプセル75
タミフルドライシロップ3%
リン酸オセルタミビル製剤(抗インフルエンザウィルス製剤)
{効能・効果 } A型またはB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防

「タミフル」に関する報道が過熱しています。前にブログでも書きましたが医療に関する報道には明らかな誤りも多い。また仮に事実でも側面からのみ取り上げるなら受け手の印象は随分違ったものになってきます。

最初目についたのは「報道ステーション」で副作用に関するものでした。
この報道だけを見た人は「タミフルとは随分恐ろしい薬だ」との印象をもたれたことと思います(私も少なからずそうでした)。いきなり古館さんが「タミフルという錠剤(正しくはカプセル)」といったのは目をつむるとして、添付文書(番組では使用説明書とか言っていた)を大写しにして問題点を論じているんですが、何を思ったか加藤さん「薬の使用説明書は字が細かいですからね。注意して読まなくちゃ」みたいなことを言い出しました。一般販売の薬と混乱している。

タミフルに限らず、処方箋での薬局での調剤、もしくは医師から直接薬が投与される場合、この使用説明書(添付文書)が交付されることは通常ありません。薬局ではそれをもっと大幅に要点をまとめた別の文書(薬剤情報)をお渡ししています。そのことの是非はともかく、現行はそうです。ですから、もし番組をご覧になっていた人がタミフルの処方を受けても、この日問題にされた内容にふれた「細かい字の」文書を手にすることはないはずです。またお渡しする文書には副作用のことは事細かには触れていません。

現在報道されている内容から、極端にいえば
1.      明日にでも鳥インフルエンザが蔓延する
2.      タミフルで即座にインフルエンザが治る
3.      タミフルがないと絶望的だ。それにもかかわらず国の対策は全く遅れていて数十万人単位で人が亡くなる
4.      しかしながらタミフルは強力な副作用をもつ、恐ろしい薬だ
といったようなイメージが広がっているのではないかと懸念しています。

油断は禁物ですが、まだ最悪の事態(人から人への感染)は起っていませんし、この冬に発生するかどうかもわかりません。また日本での蔓延ということになると更に可能性は低いものとなります。

タミフルは確かにインフルエンザの特効薬ではありますが、たちどころに症状が治まってしまうというものではありません。インフルエンザは本来人間の生体防御反応により自然治癒するものであり、タミフルはそれを後押ししてくれるもの、位に考えている方が無難でしょう。ですから高齢者のように体力の低下して生死のボーダーラインにある人には大きなベネフィット(利益性)となります。また、1,2日職場復帰を早めてくれる可能性もあります。その程度のことですから服用しなければどうしようもない、と考える必要はありません。

それともうひとつ誤解があってはならないのはこの薬には「予防的投与」が認められていますが、それは「タミフルをのんでおけばこの冬インフルエンザに罹らない」ということではなく、あくまでまわりに感染者が増え、罹患する危険が差し迫っている場合についてであり、服用期間を過ぎると効果はありません。シーズンを通じての予防手段は現在ワクチン接種のみです。

この件に関しては専門の権威の方のご発言がありますのでそのまま引用いたします。

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国立病院九州医療センター名誉院長

現福岡県赤十字血液センター所長

柏木 征三郎 先生

慢性呼吸器疾患、慢性心疾患を有する患者や高齢者などのハイリスク集団はインフルエンザ罹患により基礎疾患の重症化や肺炎などの合併症を併発し、死亡に至ることが知られています。従って、このハイリスク集団において、インフルエンザの感染を防ぐことはきわめて重要です。
今回、インフルエンザの治療に欠かすことが出来ない薬剤であるタミフルカプセルが“インフルエンザ患者接触後予防”に使用可能となりました。

しかし、インフルエンザ予防の基本はワクチン接種であることは言うまでもありません。
ワクチンの接種は、すべての人が対象とされ、その予防効果は流行時のみでなくシーズンを通して期待されます。インフルエンザ患者が存在する場合、その同居家族や共同生活者にとっては、インフルエンザ患者がウイルスを排出している期間中、確実にインフルエンザ罹患のリスクは高まります。

タミフルの“インフルエンザ患者接触後予防”の意義は、このような状況下でインフルエンザ患者の同居家族や共同生活者のインフルエンザ罹患のリスクを減らすことです。従って、タミフルの予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではありません。

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タミフルの副作用は頻度不明のものも含め発生率は高く、致死的なものも含まれます。これほど副作用が多く強ければ普通、薬としては承認されないでしょうし、これが食品なら即回収ものです。それにもかかわらず、認可されているのは、このリスク(危険性)がありながらも使用することによって得られるベネフィットがはるかに大きいと判断されているからです。

しかし残念ながらその副作用が発生するのはあなたではない、とは誰にも保証できません。医師にも薬剤師にも無理な話です。服用する、しないは一人一人がリスクとベネフィットを天秤にかけて判断するしかないのです。冒頭報じられた「精神錯乱」の副作用で事故死したと見られている二名は中学生と高校生でした。体力のある若者にまでなんでもかんでも投与するのはリスクを増やすだけだ、という意見があがっていましたが同感です。

世界的に品薄なのも事実です。発生危険性の高いアジア諸国では国をあげてコピー製品を作りにとりかかっています。日本ではできないのか?という疑問に対して「報ステ」では薬事評論家の人が「薬の開発には十年以上を要する」とトンチンカンな答えをしていましたが、それはまったくかつて存在しなかった新薬を製造する場合です。厚生労働省が認めれば同じ製品はあっという間に流通するでしょう。開発元であるロシュ社との特許の関係でこういうことが起っているだけです。本当に危険な状態が迫ればまた別の対策を立てようがあるでしょう(たとえばロシュ社に賠償金を覚悟で国家規模で同製品を作る、など)。

タミフルは「処方せん医薬品(なぜ「箋」というさして難しくもない漢字があるのに使わないんでしょうかね)」という分類にあり、普通に薬局に行っても販売してくれません。
ただし、症状があるなしにかかわらず医師が処方箋を発行すれば薬局で購入できます。これはあらゆる薬についていえることで、全く合法的です。ただし保険は利かず全額自費となります。自費の場合価格設定は自由ですが、当薬局では110カプセル分の薬価3637円に10/7を乗じた額、5200円でお願いすることになります。

にもかかわらず報道などでご承知のように、現在タミフルは非常に品不足です。国、製薬会社から末端の薬局に至るまで、そのことに対して(珍しく!)共通の認識と見解があり、「最も危険なものを優先する」ということで一致しています。タミフルの供給はインフルエンザに罹患した人、その周囲の人、発生した地域に優先的になされます。ですから今、上記のような方法をとっても恐らく薬局窓口でさんざん事情聴取されたあげくお断り、というのが関の山です。薬局には正当な理由なくして調剤を拒否する権利はありませんが、これは立派にその理由にあたります。場合によっては好意で処方してくれた医師の先生にまで疑義照会が及び迷惑をかける場合もあります。
インフルエンザが周囲に蔓延し、まだ罹っていないがかなり危険がある、というときにこの方法がある、ということを頭の片隅に置いておいてください。
それでもどうしても手に入れたい、という方は「輸入代行」という手段があります。
40,000円以上していると聞いていますが・・・

まあ、とにかく慌てないで下さい。情報を正確につかみ、その上で各自ご判断いただけるようお願いします。タミフルに限らず医薬品の添付文書(報ステで言っていた「使用説明書」のこと;普通薬局ではお渡ししない文書)は製薬会社のホームページから取得できます。

この場を借りまして、ご協力くださいました中外製薬菅野様、スズケン賀集様、クラヤ三星堂櫻木様に厚く御礼申し上げます。

中外製薬ホームページ
http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/di/scholar?bPanelId=1700006&cPanelId=1700001&paf_gm=content&paf_dm=full&paf_communityId=500001&paf_pageId=500003&paf_gear_id=1100009&search=T&searchDI=yes&searchDivision=product

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