修繕費と資本的支出


今回のケース

固定資産を数多く保有する会社の税務調査のポイントである
資本的支出と、修繕費について

今回大規模な修理をした不動産会社B社に統括調査官が調査に入った



調査対象となった理由


不動産会社B社の経費計上○期修繕費の額が前期以前と比較し著しく増大のため。

毎期毎期の決算書の勘定科目に計上されている数値を連続的
に対比比較して、合理的な理由が推定できないのに、特定の勘
定科目の数値が異常に増減した場合は、その理由を確認する為
税務調査の対象になる事があります。


調査の結果

B社が損金処理をしていた次の六点について処理は認められず、
資本的支出として処理をするようにとの事である。


一、建物に設置した非難階段の費用

B社の賃貸住宅に消防署の指導により設置した非難階段の設置費用
80万円

二、絵画の修繕費用

有名画家の絵画の汚損を修復する為の支出した費用
200万円

三、三年毎に支出する検査費用

法令で三年毎に定期的に所定の検査を受けなければ物の検査費用
100万円

四、賃貸マンションのカーテン一斉取換費用

B社の所有する30室の各室の窓カーテンの一斉取換費用
300万円

五、ガラス飛散防止フィルムの取付費用

B社本社ビルの窓ガラスに、飛散防止と熱線遮断
の効用を持つ合成樹脂フィルムを取り付けた費用
600万円
〈建物取得価格8億円〉

六、スチールサッシからアルミサッシへの取換費用

B社の社宅用建物のサッシが老朽化したため、アルミサッシへの取換費用
3000万円
〈アルミサッシの購入価格〉
修正額合計4280万円
(税負担額は、通常の本税だけで約この半分)


以上の項目はB社のような固定資産の多い不動産賃貸業
などでは、狙われやすい項目である。

参考資料数値

●建物の取得価格・・・・二億八千万円
●除去したスチールサッシと同品質の物を購入した場合・・・二千万円
●工事費は同額〈一千万円〉とします

損金処理
確定した決算において費用または損失として処理する事

資本的支出
資本的支出としてと認定された金額は、その支出した事業
年度の損金には算入できず、その支出の対象となった固定
資産の取得価格に加算する必要がある。
今回の件はB社の修繕費の認識や基準の無さの結果である
(世間一般の認識で判断)


修繕費の認識について
税務上の認識と世間一般の認識とでは相当大きな開きがある
項目で、税務上の認識範囲は狭く度々トラブルの種となる。

世間一般認識と税務認識の違い
雨漏りする屋根葺を全部葺き替える場合に要する費用は世間
一般では修繕費と認識されるが、税務上は原則として破損した
瓦の部分的取換のみを修繕費とするなど。

税務上の修繕費と資本支出の定義


資本的支出
資本的支出とは、修理、改良等いかなる名目のいかんに関係なく
、固定資産について支出する金額のうち、次に該当するを言う。



T、試用期間延長可能額

固定資産に対してある金額を支出することによって、固定資産の
使用可能機関を延長させることが可能となる場合における使用
可能期間の延長部分に対応する金額。
算式@により計算されます。



U、価値増加額

固定資産に対して支出した金額のうち、当該金額を支出する事に
より、固定資産の価値を増加させる部分がある場合におけるその
価値増加部分に対応する金額で算式Aにより計算されます。

算式@

資本的支出の金額=
支出しなかった 支出した× 支出時の − 場合の支出の時以降に 金額 使用可能年数 おける使用可能年数 -------------------------------- (支出時の使用可能年数) 算式A 資本的支出の金額= 支出直後の価格 − 管理、修理をした場合に (時価) 予想される支出時の価格(時価)

このように資本的支出とは、固定資産の修理、改良等の為の
ために支出した費用のうち、その固定資産の使用可能期間を
延長させる部分または価値を増加させる部分の金額を言う物
とされています。


修繕費
修繕費とは、固定資産の通常の維持管理等の為に支出した費用
のうち、固定資産の通常の維持管理等のために要する部分の金
額をいうものとされています。
すなわち固定資産の修理、改良等のために支出された金額のうち
試用期間の延長、価値増加に貢献する部分以外に対応します。
                   |---使用期間延長可能額 ↓
                   |                    
修理改良等の支出----|---価値増加額→資本的支出
                   |
                   |---上記以外→修繕費
                
                

以上の説明は理論的もので実質基準と呼ばれる区分方法


実務上では形式基準という客観性に基づく割きり切り
により資本的支出と修繕費を区分することにしている

以下その2へ続く


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